今日はあまりに風が強くてモビットの竹中直人のようにネクタイが暴れました。
それでは、旅の続きを・・・ <12月29日>リオ やってきましたリオ。戻ってきましたリオ。 いつ来ても、この地に降り立つと何ともいえない感情になります。 世界中どこに行ってもリオでしか味わえない感情です。 昨夜は、大渋滞でガレオン空港から市内まで3時間もかかってしまい、市内に到着したのが夜9時半過ぎ。早速友人たちと"Garota de Flamengo(フラメンゴの娘)"で大量に汗をかきながら、おいしい肉を満喫。 5年ぶりということで夜のリオに少々警戒し、カメラは宿に置いていったのでした。 翌朝8時半過ぎに宿を出発。 今日はリオ、ニテロイのニーマイヤー建築巡りです。 ブラジリアの牛で忘れかけていましたが、この旅のそもそもの目的はニーマイヤー氏生誕100年を祝うということでもあったのです。 バスから臨むPraia de Flamengo(フラメンゴ海岸)。ちょー気持ちいい。 同じくフラメンゴ海岸です。 リオの他の海岸の中でも、とりわけここのフラメンゴ海岸は、歩くよりも車で通る方が気持ちがいいです。 なだらかな環状ハンパ(ランプ)を潮風に吹かれながら走るのが最高です。コーヒーカップに乗っているかのよう。(バスは爆音を立ててジェットコースターのように走りますが。。それはそれで楽しいでス) バスでPracaXVまで行き、船で今日の目的地ニテロイへ~! この船からの眺めは大好きです。 ・・・が、リオの空がとんでもないことに!!!! 街全体が薄茶色のスモッグで覆われているではないか!!!(写真では綺麗な色ですが) ショック大きく、しぶしぶサングラス越しにリオの街を眺めることに。。 ニテロイに到着。5年前と比べると、ニテロイの街がすごく綺麗になっていてびっくり。 前方に見える白い物体が、今日の最初のお目当ての場所です。ちなみに、左側の背後に見えるのが、リオとニテロイを結ぶ全長15キロの橋です。オススメしませんが、どうしても車で行きたい方はどうぞ。 港からはてくてく歩くこと20分。 ニーマイヤー氏設計のTeatro Popular(市民劇場。2007年3月竣工)に到着しました。 以前ここでも紹介しましたが、やっぱり見に来ちゃいました。 まずはこのうなるようなプロポーションを外から見てみましょう。 <物件データ> 名称:Teatro Popular(ニテロイ市民劇場) 延床面積:約1000㎡ 敷地面積:約17000㎡ 総工費:1400万レアル(8億2000万円) 竣工当時と比べてだいぶ芝生が生えてきたようです。 劇場自体は現在リニューアル中のため、正門は閉鎖中でした。 工事車両が入る仮設門より入るとこのような姿で目の前に現れます。 外構は・・・お金がなかったのでしょう。きっと。笑 実は、劇場があるこのエリアは、ニテロイ市の戦略として"Caminho Niemeyer(ニーマイヤー通り)"という一大観光スポットを作ってしまおうという計画なのです。 市を挙げてニーマイヤーという一人の建築家の作品を後押ししているわけで、 言ってみれば地方自治体がパトロンになっています。 こんな話、今の日本だったら考えられません。 それにしても、中途半端なアスファルトといい、青々した芝生といい、怪しいものが飛び立つ滑走路のような感じですね。 これが"Caminho Niemeyer(ニーマイヤー通り)"の完成模型。あくまで”完成予想”です。笑 現在2棟が既に竣工し、現在3棟目を建設中です。 全て竣工するのはいつになることやら・・・ では、スロープを上って中に入ってみましょう。 建築(内部)への入り方の演出に重きを置くニーマイヤー氏にとって、 流れるようなスロープは欠かせない要素です。 個人的には、ニーマイヤー建築の醍醐味は内部への入り方だと思いますね。 そう、関取の土俵入りのようなものです。 リニューアル工事中のため本来は閉鎖中なのですが、わざわざ足を運んできた観光客のために、ニテロイ市から派遣されたボランティアがガイドしてくれます。 僕が入ったツアーの案内人はいかにもカリオカなNatalia。観光系の大学に通う学生でした。 (片言の英語なら大丈夫だそうです。) 劇場への入り口はこのフロアです。 さすがRC造という感じです。 ニーマイヤー氏の建築は柱を嫌うため、かなりの耐力が求められます。 壁厚もほら、こんなです。ごつー。 微妙に曲がったりしていても関係ないです。巨匠ですから。 写真が悪いですが、劇場内部へはさすがに入れてもらえず、 スモークガラスの外より中を見たところです。 収容客数350人。 舞台前面の壁の色は黄色と緑そして白。 ブラジル国旗の色だとすぐに見当つきますが、青が見当たりません。 さて、どこに・・・ Nataliaが指差した先は・・・ 青い海です。 ニーマイヤー氏はそう表現したのだと。 うーむ。Viniciusの詩のような世界観じゃないか。 ニーマイヤー氏は、いわずと知れた共産主義者で、ブラジルが軍事政権下にあった1960年代には、亡命という形でフランスへ渡り、フランス共産党に入党していたこともあるほどです。あのキューバのカストロ議長とも親交が深く、彼の誕生日に、ニーマイヤーが自身でデザインした彫刻をプレゼントしたという話は有名です。 そのニーマイヤー氏のスケッチがそのまま壁面になっています。 労働者たちが赤い旗を振りながら何かを訴えている絵です。 なぜタイルが中途半端で終わっているのかNataliaに聞いたところ、それも共産主義的なメッセージの証で、社会的な財産を平等な労働者全員で作り上げていくという意図が込められているとのことでした。 市民劇場という超パブリックな建築に、こうした個人的な思想を入れ込んでしまう。 ザ・巨匠だからなせること。 ブラジルには街宣車が走ってなくて良かったです。 階段を下りて1階です。この螺旋階段も見事です。 この辺のディティールはご愛嬌ということで。 こういう粗雑さがあるからこそ、ニーマイヤー建築は成り立っているとも言えるかもしれません。 グアナバラ湾の先、遥か前方にはコルコバードのキリスト像、そして上の写真では切れてしまいましたがポン・ヂ・アスーカルが。 リオを知り尽くしたニーマイヤー氏だからこそ計算できた構図が広がっています。 前方に見えるのは、元リオ州知事でニテロイ市に貢献した故人Roberto Silveira氏の記念碑です。 見覚えある方も多いはず。以前紹介した、サンパウロのイビラプエラ公園にあるAuditorio(公会堂)にも同じものがありました。開閉式になっていて、建物の外に向かって舞台を開くことも可能です。最大で10,000人の集客が可能だと言っていましたが、どうせならここも芝生にした方が・・・。やっぱり芝生に寝て音楽を聞く方が気持ちがいいですよねー。 劇場と外部をさえぎる黒ガラスに反射するリオの風景。キリスト像が逆を向いています。(ちなみに、リオのキリスト像はNYの自由の女神像と向き合っているという噂が昔からありますが、本当のところはどうなんでしょう?) 「抜けるような青い空によって踊る裸のバレリーナ、さえも」 ちなみにバレリーナはデュシャンが描いたものではありません。 この形、何に見えますか?もちろんニーマイヤー氏的には、裸の女性がうつ伏せになっている姿なんだろうけど・・・。 彼のスケッチがそのまま建築になっているあたりがすごすぎますね。 彼の事務所スタッフの苦労を察します。。 というわけで、本日1作目終了~。 この日はまだまだ続きますよー。 オマケ↓ ニテロイのバスターミナル。劇場の隣にあるのですが、ニテロイのもう一つのニーマイヤー作品、現代美術館へはこのターミナルからバスで行けます。 100mほど続く単純な切妻屋根の建物なんですが、ここから発着する人で中はひっきりなしでした。 建築とはやっぱり人に使われて何ぼだよなぁ・・・
by hayatao
| 2008-04-01 02:20
| 旅
|
by hayatao
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★web制作から撮影、インテリアデザイン、建築設計までカステラ工房ではトータルにデザインを承ります。
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