今頃気付く 林檎の魅力
b0020525_18472912.jpg
平成風俗/椎名林檎+斎藤ネコ

最近これしか聞かない。こんなに1枚のアルバムに聞き入ってしまったのは、ブラジル時代に出会ったElza Soaresの「do Coccix ate o Pescoco」か、高校時代に擦り切れるまで聞いたThe Pharcydeの「LABCABINCALIFORNIA」以来だ。

来てる。すごい来てる。椎名林檎。
今頃?って言わないで下さい。

きっかけは、朝日新聞社によるフリーペーパー「J nude」に椎名林檎が載っていたことだ。
記事の要約はこちらから>>>
ジェンダーに対する考え方に同感する部分が多く、さらに同い年で誕生日が自分と1日違いということも手伝って、軽い気持ちで新しいアルバム「平成風俗」を購入した。4年ぶりの本人名義のアルバムらしい。

b0020525_18492891.jpg
椎名林檎が「幸福論」で鮮烈デビューを飾ったのは1998年のこと(もう9年前か!)。当時「歌舞伎町の女王」や「幸福論」、「ここでキスして」をPVで見た時、どんよりした映像にどぎつい林檎の「赤」の象徴的な使い方が妙に印象に残ったが、不思議と曲自体に関してはほとんど興味が湧かなかったんだよなぁ。

で  も、
今回のアルバムを聞いて度肝を抜かれた。
そこには今までの椎名林檎ワールドとはちょっと違った世界が広がっていた。
リリックに関しては林檎節が随所に見られるものの、バイオリニストの斎藤ネコ氏との共同名義で出されているように、管弦生楽器をふんだんに取り入れた曲目で、音楽家としての幅の広さをいたるところで発揮している。特に「カリソメ乙女」、「夢のあと」なんかは絶品だ。

元々、このアルバムは椎名林檎が写真家蜷川実花の初映画監督作品「さくらん」に音楽監督として起用されたために書き下ろしたもので、彼女自身も「私の作品でありながらまずは蜷川監督の作品なのですから」と言っている。もちろんこの映画も既にチェックしたが、土屋アンナ然り、椎名林檎然り、(個人的には夏木マリの演技が最高だった。やっぱり名女優はレベルが違う。)、ストーリーの薄っぺらさはさておいてそのキャスティングは見事だった。

b0020525_19735100.jpg
話は変わるが、この映画、色には人一倍うるさいことで有名な蜷川実花氏らしく、色がかなりどぎつく表現されている。そして彼女が好きな金魚も度々登場する。綺麗であることは確かなのだが、おなじ原色系の組み合わせでも、たとえばブラジルやメキシコで見る原色と日本で見る原色はなぜにこんなに受けるイメージが違うのだろう。やっぱり空と太陽の影響なのか・・・。
この映画もぜひご覧あれ。吉原的日本語の勉強にもなりました。笑。
"花魁"すら読めなかった僕は日本人じゃないのでしょうか・・・。

映画「さくらん」オフィシャルサイトはこちらから>>>



一気に椎名林檎熱が高まり、続いて購入したのが、「唄ヒ手冥利~其ノ一」。

b0020525_1983243.jpg
唄ヒ手冥利~其ノ一/椎名林檎

2002年に発売されたカヴァーアルバム。当時僕はブラジルだったので全く知らなかった。で、どんな曲が入っているかと思ったら、童謡曲の「小さな木の実」や"お熱いのがお好き"でマリリンモンローが唄っていた「i wanna be loved by you」、フランスギャルの「jezz a go go」、ジョンレノンの「starting over」などなど。極めつけは林檎がフランス語訛のポルトガル語で唄う「黒いオルフェ(Manha de Carnaval)」だ。


b0020525_199380.jpg
椎名林檎が作り出す世界観は官能的で自虐的、かつ退廃的なイメージが先行し、どうも中島みゆきとキャラがかぶっていたのだが、この2枚のアルバムを聞くことによって、椎名林檎の音楽家としての尋常じゃない才能に気付かされた。あらゆるジャンルを飛び越えても埋もれない歌唱力と、どんな曲にも椎名林檎的世界観を投影してしまう天賦の能力。これはもう、ある意味狂気的ですらある。

こういう人は一体どういう思考回路で物事をクリエイトして行くんだろう・・・絶対に確信犯的に制作活動するんだろうなぁと思っていた矢先、偶然にもNHKの"椎名林檎お宝ショウ"という番組で、"プロフェッショナルの現場"チックに茂木健一郎と面白い対談をしていた。(それにしても最近茂木さんテレビに出すぎ。それとも僕が見る番組がかぶっているだけ?)

「自分のやりたいという方向と、ファンの望むものとずれちゃうことってなかったですか?」という茂木さんの質問に「デビューした時からずれっぱなしだったと思います。最初のアルバムの2枚くらいは少女時代(高校生)に書いたものをリリースすることになったので、デビューした時にはすでにもう自分とのギャップがありました。」と答える椎名林檎。「やっぱりか!」とテレビの前で茂木さんと同じ反応をしてしまった自分。

クリエーター自身が考えているものとその人の作品が乖離してしまうことは宿命的でよくあることだけど、特に椎名林檎の場合はセンセーショナルなデビューをしてしまったために、市場が求めるものがひとり歩きしてしまったのだろう。
「自分はクリエーターじゃない」って言っていたけど、市場の要求通りに、さらにそれ以上なものを作ってしまう姿勢は正にクリエーター魂があってこそ。天才と言うよりは、ものすごく努力家なんだなと感じさせられました。

終盤、「椎名さんはもし自由に何でも作ってよいと言われたら何を作りますか?」という茂木さんの問いに対してこう答えた。「えーわかりません。歌じゃないかもしれませんし、そんな欲求があるのかどうかもわかりません。」

どう見ても噛み合っていなかった二人の対談。
そして、あんなにあたふたする茂木さん、初めて見た気がする。
この番組は3/28深夜に再放送されるらしいので是非。

林檎とリンゴのマーク。
この2つが出会ったら面白いことになりそうなんだけど。
さすがにそれはないかな。
[PR]
by hayatao | 2007-03-23 06:18
<< デザインによる未来予想図 I またひとつ、栄冠を手にしたフラメンゴ >>



「すべての道はブラジルに通ず」リオ育ちの日本人による徒然日記。ブラジルの建築・デザイン・サッカー関連のことが中心です。建築設計事務所での修行を終え08年12月よりサンパウロ勤務。カステラ工房主宰。
by hayatao
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
information
★web制作から撮影、インテリアデザイン、建築設計までカステラ工房ではトータルにデザインを承ります。
ご依頼、ご相談はこちらへ
castellakobo@gmail.com
----------
「Save the 下北沢」Save the 下北沢
僕は世田谷区による下北沢再開発計画を断固として許さない!ブラジル南部の環境都市、クリチーバ市の元市長のジャイミ・レルネル氏も代替案を提案しています。

----------
人気blogランキングへ
カテゴリ
全体
ブラジル
日本のブラジル
お建築
デザイン
MPB
お仕事
東京散歩
サッカー
展覧会
ライブ

映画
下北沢
音楽

姪ちゃん
Works
時事ネタ
未分類
以前の記事
2009年 05月
2009年 02月
2008年 12月
more...
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
なかのひと