大泉祭り 一日一ボンジーアの可能性
すっかりレポートが遅くなってしまいましたが、先週日曜日は群馬県邑楽郡大泉町のお祭りに参加するため、朝一番にレンタカーを借りて、いざ出陣!

っと、その前に簡単に大泉町の紹介を・・・
東京の練馬区にも大泉町ってあるけど、群馬県の東部にあるこの大泉町は、近所に太田市、館林市、埼玉県の熊谷市のデルタ地帯に囲まれた人口約42000人程の町。この数字だけ見れば地方都市のごくごく平均的な町で、用事がなければ通り越してしまう町なんですが、この町には日本一の物があるんです!

それは・・・「日本一外国人密度の高い町」!

人口約42000人のうち、外国人が14.8%(6300人)を占め、さらにその中でブラジル人だけで10%(約4700人)を超えている。つまり、大泉町を歩いていると、10人に1人の確率でブラジル人とすれ違うことになるわけ!
東京都でさえ、外国人数の対総人口は2.8%ほど(約1246万人中35万人)で、いかに大泉が外国人、そしてブラジル人が多いか分かってもらえるでしょう。
元々大泉には中島飛行機という大工場があったようですが、今でも三洋電機や富士重工などをはじめ工場が多く、外国人居住者が多い所以はそこにあるのです。「外国人労働者が多い企業城下町」という典型的な姿が大泉にもあるわけです。詳細なデータは今手元にありませんが、大泉に住むブラジル人の多くはそういった工場で働くためにブラジルから出稼ぎに来ている人々です。
ちなみに、日本で生活するブラジル人の数は約27万5千人に及び、彼らが祖国ブラジルへ送金する額は年間約22億ドルで、ブラジルの対日輸出額にほぼ匹敵するんです!

なーんて、こんな数値だけ言っていてもわからんわな。
詳細はこんな専門書に任せておいて、早速お祭りレポートへ。

ブラジル仲間を4人乗っけて新宿から高速に乗って約2時間半。
大泉に到着~。

メイン通りはどこからともなくやって来る屋台で埋まっていた。ごくごく普通の日本の屋台群。(それにしても屋台で商売している人たちって普段はどこかで常設販売しているのだろうか?地元ヤクザの勢力によって屋台の個数が決まるという話は聞いたことがあるけど、彼らの素性を知りたい)人通りがあまりなかったので、とりあえず確実にブラジル人がいるブラジリアンプラザへ。
b0020525_1184939.jpg1Fには家電品、アクセサリー屋、ランショネッチ(軽食屋)、2Fには肉屋、洋服屋、ランショネッチ(軽食屋)、そしていつもネットで御用達のキタンジーニャ(ブラジル雑貨屋)。ここにいると日本にいることを忘れる。五感に訴えてくるもの全てが正に「ブラジル」そのものなのです。
b0020525_1161790.jpg特に僕がここでブラジルを感じてしまうのは、店舗スペースの使われ方。全体のスペースの割りにテナント占有面積が少なくて、共有面積、つまり余白が広いこと。建物全体を隅々までテナントにして利益を抽出するのが日本型のショッピングセンターだとするならば、来訪者が寛げるようなスペースが広いのがブラジル型と言えるかもしれない。いや、言ってしまおう。あの間の取り方が気持ちいいんだな。
b0020525_1155751.jpgキタンジーニャで食材(デンデ油をようやくゲット。これで夏はムケッカだ!)を購入し、一緒に行った友人オススメの「FATTO A MANO(0276-63-7563)」で昼飯。ここのオーナー、三澤巌さんはクリチーバから移住してきて18年。今は大泉群馬ブラジル協会会長として日本人とブラジル人のパイプラインとしてご活躍されているそうです。冗談好きな気さくな方で、こんな接客にもブラジルらしさを感じてしまう。FATTO A MANOとはイタリア語で「手作り」を意味するらしく、正に手作り感満載のメニューが三沢さんの人柄と共に伝わってきます。パステウ、コシーニャ、ラザーニア、今日のランチ、スーコ・ジ・ビタミーナ・・・etc。ブラジル臭満載の贅沢なfatな食事。と同時に帰国してから胃が小さくなってしまったことを痛感・・・。
「カロリー?そんなの明日から気にすればいいや」。

続いてSUPERMERCADO TAKARAへ。倉庫をそのままスーパーマーケットに転用。b0020525_1191832.jpgb0020525_1362250.jpg
どことなくブラジルのカイピーラ(田舎)にあるスーパーのような感じ。外ではシュハスコと酒で盛り上がる初老の男たち。中に入るとカフェが併設されていて、ブラジル人がちらほら。休日の午後をカフェジーニョとテレビ(もちろんIPC)でボーっとしているvagabundoっぷりはやっぱり絵になる。ここではベテハーバ(ビーツ)とブラジルの水(Minelba)を購入。
このスーパーの近隣には水田+平屋の民家という純日本的な風景が広がっています。うーむ。カオスとは正にこのことを言う。

b0020525_1194977.jpg歩行者天国になる時間を見計らって車を駐車し、いざメイン会場となる円形広場へ!
駐車場から広場までの途中、聞こえてくる言語はブラジル人が話すポルトガル語、もちろん日本語、ペルー人たちが話すスペイン語、観光客っぽい人たちが話す英語、おそらく住民であろう中国人たちが話す中国語、、、。一体ここはどこなんだろ・・・。決して代々木公園で行われるような○○フェスティバルのようなものではないことは確かだ。
b0020525_1195521.jpg会場の舞台ではAXE(アシェー)を踊る若人3人衆(男×2、女×1)。女の子のビキニ跡も妙にエロかったけど、それ以上に男共の踊りがエロすぎ!シースルーのシャツと鳩胸。「幼いマッショ」的なキャラにやられ、終始彼の踊りを堪能する。彼は伸びるよ。
b0020525_120751.jpg微笑ましいブレイクダンスとヒッピホッピ(HIP HOP)の踊りの後はカポエイラのホーダ。一人とんでもない人を発見。今まで見たことないような連続技の連発。帯を見ると白と青。ってことは準師範か。納得。。
続いて浅草サンバカーニバルでもおなじみの、サンバヘギグループ「BLOCO BARRA BENTO」。b0020525_1202195.jpgb0020525_1202714.jpg
スルドの重低音にテンションは一気に高まる。多少のリズムがあっていなくてもそれを帳消しにするような勢いと重低音にヤラれた。ちなみに、ボーカルはブラジル人と日本人のラッパーTENSAIS MC'sのBeto。

残念ながらレンタカーの返却時間があったため、レポートはここまで。祭りではこの後、ブラジル人が歌うアキバ系J-POP、以前FESTA DO BRAZILでも見たセルタネージョグループ「NOVO TEMPO」などがライブした模様。

<思ふこと>
予てから大泉クラスの中小都市に様々な国の人たちが暮らすのは困難が多いと言われていたのは知っていた。そりゃそうだ。だって国籍・言語・バックグラウンド・価値観、あらゆる面において違った要素を持っているんだから。ゴミの分別問題にしろマナーにしろ「日本人の常識からしてこうしてくれるだろう」というのでは通用しない。しかも東京のような隣の人の顔も知らない不特定多数の多国籍な人間がごちゃごちゃと暮らす街ではなく、大泉はむら意識が生き残っている地方都市だ。ブラジル人の誰か一人がマナーを違反したとなれば、「ブラジル人=マナーの悪い人たち」というレッテルが貼られてしまう。

現に大泉祭りのことでいえば、2002年まではサンバパレードが大泉祭りの正式行事として行われていたらしいが、不況で予算がとれないという理解に苦しむ行政からの圧力(実際にはお祭り時のブラジル人のマナーの悪さらしい)によって廃止され、以来お祭りの表舞台からブラジル関係のイベントは消えてしまった。しかし表舞台から消えても、やはりここは10人に1人がブラジル人の町。毎年お祭りの時にはブラジル人たちが集まる場所が主にブラジルレストラン周辺で生まれ、特設ステージが設けられ、今年はついに一つの公共施設である円形広場での開催が実現した。これは日本人とブラジル人を繋ごうとする方々の尽力の結果です。(kimobigのみなさん、おつかれさまでした。)
円形広場ではブラジル系のイベントしかやっていないので、もちろんブラジル人が圧倒的に多かったが、おみこしを担いだ後にフラっとやってくるおっさんの姿や、地元の日本人の家族連れ、帰り際に立ち止まって眺めているおばあちゃん、スルドの重低音に乗せられ踊りの中に入ってきたおじちゃんなどなど、ブラジル人ではない人たちが広場で足を止めている姿を度々見かけた。

彼(彼女)らの姿を見たとき、僕は「これだ!」と思った。大泉に住む日本人にとって、日常生活においてはなかなかブラジル人を知ろうというきっかけ、機会がない。そして、大抵の日本人は知ろうともしていないのが現実。でも年に一回のこうしたお祭りで、一人でも多くの日本人がブラジルをはじめ外国の文化に興味を持ってもらうことこそ、大泉祭りの目指すべきところであるだろうし、それが「日本一外国人密度の高い町」の特権なんではないかなと思う。

大泉で奮闘する国際交流団体「KiMOBiG」代表のミハルがある時、こう言っていた。
一日一膳ならぬ「一日一ボンジーア(ボンジーア=おはよう)」。日本人とブラジル人が朝のゴミ捨て場とかで「ボンジーア」と挨拶する光景。別にそれは「おはようございます」でもいいと思うんだ。一日の始まりの朝に、たったその挨拶を交わすだけでもこの町はすごく変わると思う。
自分は大泉に住んでいるわけではないので、それを東京で実践する。

b0020525_1472193.jpgb0020525_1472742.jpg
<左>おみこしを担いでいる大泉の日本人
<右>左からペルー人、ブラジル人カップル、日本人カップル、ブラジル人女性・・・etc

最後まで読んでくださった方、このblogを始めて以来の長文にお付き合いくださり、obrigadao!
[PR]
by hayatao | 2006-07-31 01:50 | 日本のブラジル
<< 現代建築の先を行くあるブラジル... 社長令嬢と母校 >>



「すべての道はブラジルに通ず」リオ育ちの日本人による徒然日記。ブラジルの建築・デザイン・サッカー関連のことが中心です。建築設計事務所での修行を終え08年12月よりサンパウロ勤務。カステラ工房主宰。
by hayatao
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28
information
★web制作から撮影、インテリアデザイン、建築設計までカステラ工房ではトータルにデザインを承ります。
ご依頼、ご相談はこちらへ
castellakobo@gmail.com
----------
「Save the 下北沢」Save the 下北沢
僕は世田谷区による下北沢再開発計画を断固として許さない!ブラジル南部の環境都市、クリチーバ市の元市長のジャイミ・レルネル氏も代替案を提案しています。

----------
人気blogランキングへ
カテゴリ
全体
ブラジル
日本のブラジル
お建築
デザイン
MPB
お仕事
東京散歩
サッカー
展覧会
ライブ

映画
下北沢
音楽

姪ちゃん
Works
時事ネタ
未分類
以前の記事
2009年 05月
2009年 02月
2008年 12月
more...
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
なかのひと